マイケル・マーシャル・スミス『スペアーズ』

ドリームワークスが映画化権を獲得したとカバーに書いてあるのだけど、まだ映画化はなされてない……ですよね。これを映画化するのはやはり難しいんじゃないだろうか。
いわゆるリーダビリティに関してはかなり高いレベルのものを持ってる作品で、けっこう長い話ながら面白く読めた。面白い。面白いのは確かなんだけど、読み終わってから考えると……えーっと、結局どういう話だったんだろう、と思ってしまうようなどうにも捉えどころのない話であるのも確か。
臓器とか体の一部とかを移植するためだけに生育されているクローン人間達(スペアと呼ばれる。これがタイトルの由来ね)に情が移った管理人が彼等を連れて脱走、って感じにある意味わかりやすく話は始まるのだけど、その後の展開が全然わかりやすくない。最終的にはクローン達は全く話のメインじゃなくなってしまうし……と言うか、何が話のメインだったのかさっぱりわからない。
僕が一番面白かったのは主人公ジャックと宿敵(でも仲直りv)ヴィナルディが一緒に異次元空間を彷徨する、という物語全体から思いっきり浮いて見えるパートなんだけど、こういうある種シュールの要素を持った部分がこの話は面白いよお。そもそも舞台となる場所が超高層ビル型飛行機が停泊したまま飛べなくなって町になった場所っていうのが最高だ。でもこの舞台設定が生かされている気は全くしない(笑)
とにかく、激しく謎な要素も抱えながらいわゆる普通のエンターテイメント的面白さも持っているというところがとても良いと思う。
萌えたキャラ:ヴィナルディ、マチェット(後者は賛同者多数と見た)