綿矢りさ『蹴りたい背中』

クラスのハズレ者ハツ(♀)は、モデルのオリチャンに遭遇した経験があることから同じくハズレ者で彼女のファンであるにな川(♂)に家に呼ばれ、根掘り葉掘り聞かれたり気持ち悪い姿を見せられる破目になる。それからも二人の奇妙な関係は続き……というお話。
流行り物ウォッチャーな人に今頃手渡されたので読んでみたら、意外に面白かった。リアリティ云々はどうでもいいのだけど、出てくる男がちゃんとチンチン付いてる感じがするのはポイント高い。そのわりに全然エロくないのもいいかも。「蹴りたい」とか言っときながら全然“性”には届かないってのが。これ含め、主人公ハツの言葉はいちいち全部言い訳っぽくて、今現在彼女が辛いとか妙な状況に置かれてるってことよりも「本当は彼女だってもっと楽に生きられる」ってことのほうが結果的に透けて前に出てきちゃうみたいなどうしようもなさ、が面白かったのかな。
そろそろ映画版が公開なので『インストール』も読もうと思ってるのだけど、どうだろう。