2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

山田風太郎『甲賀忍法帖』

別に映画化記念というわけでなく、このタイミングで山田風太郎初読み。期待通りの面白さであまり言うことがありません。主役格のキャラも小物もほぼ同等に扱われる“トーナメント方式”*1の忍術バトルが楽しい。その分いわゆるキャラ立ちは控えめだったりする…

奥さまは魔女

主役の二人が二人とも空気の読めないキャラのせいで、実に鬱陶しいカップルに見えるのだけど、それでも一応応援したくなるくらいにはロマンチックだった。ニコール・キッドマンのアホ丸出し演技が楽しい。話題のあの映画*1の主演俳優スティーヴ・カレルが“ア…

ジャック・ケッチャム『黒い夏』

ケッチャム先生の最新刊。4年前に女の子二人を惨殺した不良少年とその周辺に漂うピリピリとした緊迫感が、いつ爆発するか、いつ爆発するかと恐れ戦きながら読める、さすがのイヤ小説でした。ラストはやっぱり地獄絵図。不良少年とその新しいガールフレンドが…

南極日誌

(僕にとっての)豪華キャストに惹かれて観てみたのだけど、面白くなかった。最近よくある「極限状況に置かれた人間(達)がどんどん頭おかしくなっていって最後に叙述トリック的なオチが付いて終わり」モノからオチを取り除いてできた映画という感じ。ソン…

ランド・オブ・ザ・デッド

この監督のこのシリーズを観るのは初めて。で、ちゃんと面白かったので嬉しい。ゾンビに感情移入させようとする演出がしつこすぎてちょっと萎える(感情移入できるゾンビなんてカッコよくないもの)のだけど、そのぶん人間側のドラマの作り方とか、キャラの…

VOW17

未だにシリーズ追っかけてます。今巻は僕の好きな「変な日本語」ネタがたくさん載ってるのが嬉しい。新聞ネタが多いのは『VOW王国 ヘンな新聞』の落穂拾いだろうか。何にしても、投書ネタは面白い。 載ってるネタそのものの面白さとは少し離れた点で楽しみを…

愛についてのキンゼイ・レポート

いやービル・コンドンえらいえらい。さすがゲイ監督。誤った性知識や理不尽な性道徳の犠牲者への暖かい視線が感動的。キンゼイ博士が父親の面接調査をするシーンは泣けた。最終的には最近よくある「波乱の人生を歩んだ偉人とその妻」モノになってしまうのが…

鈴木光司『らせん』

映画版『らせん』は『リング』で盛り上がった恐怖感を台無しにするダメ映画だったけれど、この小説版でも同じく『リング』のオカルト要素は台無しにされていく。それなのにその“台無し”感がまさに面白いという変な本でした。メインの要素はトンデモSFなのに…

ジョン・ソール『闇のなかの少女』

少年少女虐待ものの大家だということで、一作読んでみました。被虐体質のグズ少女が母親からは虐待され、優しい(ように見える)異母姉からは陰でこっそりいろいろ仕組まれて……という展開は『隣の家の少女』よりストレートにイヤ小説で立派立派。ただ、最初…

運命じゃない人

ガイ・リッチーの映画みたいな、各々の登場人物が意外なところですれ違いつつ複雑な事態が決着を見るのだけどその全容は観客しか知らない、という趣向。札束や銃弾が飛び交ったりはしないけどこれはこれで。面白かった。ただ、ヒロイン(?)役の霧島れいか…

鈴木光司『リング』

実は未読でした。映画版と全然違うのでびっくり。浅川が男!そして高山がえっらい下品!この高山のキャラに代表されるように、わりとオヤジ的感性が全体に漂っていてへーこんなんだったのかと思いました。そのせいか怖くはなかった。面白かったのはやはり高…

エデンより彼方へ

古典的メロドラマ世界が自然にあらぬ方向へ展開してゆくというような趣向で、先の展開が読めるわりに場面場面に緊張感があって退屈しない。ただデニス・クエイドの秘密の性癖絡みのエピソードだけが妙に浮いていて、なんだかネタみたいな扱いなのがちょっと…

木原浩勝+中山市朗『新耳袋 第一夜』

夏なので怪談本をいろいろ買い込んであります。これもその一冊。実録怪談集の常として、一編一編の怖さとか、まして物語としての強度なんてものは大したことないのだけど、まとめて読むとゾワゾワが定着してしまってとってもいい気分。まあ、この本じゃなき…

4人の食卓

韓国製ホラー映画。えっと、長すぎ。終わってみればわりとわかりやすいストーリーなのに、どうしてこんなにゴチャッとした形で見せるのか。あと、必要のない無駄に悪趣味なシーン(子供の死体とか)が多すぎるのでは。でもまあ終盤の展開は哀しくも恐ろしい…

小山正とバカミステリーズ『バカミスの世界』

今頃買って、今頃読みました。なかなか体系的なブックガイドになっていて役に立ちそう。ただ、バカミスという言葉が広義になりすぎな感はあるけれど。バカミスとユーモア・ミステリは分けてほしいな。 全コンテンツ中の白眉は折原一による「バカミス試論」。…

エド・マクベイン『警官嫌い』

ロス・マクドナルドをロスマクと呼ぶのなら、この人のことはエドマクと呼ぶんだろうか。ともあれ、追悼ということで87分署シリーズ一作目を読んでみました。 取調べとか聞き込みのダルーい感じを読ませる警察小説としてそこそこ楽しみながら読んでたら、妙に…

ヒトラー 〜最期の12日間〜

結構なイヤ映画でした。そのうちこのリスト*1に付け加わるんじゃないだろうか。冒頭のシーンからイヤな緊張感が画面に満ち満ちていて、観終わる頃にはもうグッタリ。まあ、上映時間が長い(155分)ってのもあるんですが。出てくる人間はみなさん弱くて滑稽で…

キッチン・ストーリー

801板の「おすすめ!やおい映画」スレッドで高く評価されていたのもうなずける、珠玉のオヤジ萌え映画。観察するオヤジとされるオヤジがだんだんと打ち解けてゆく、変則「同居もの」で、とぼけた設定とほのぼのとした雰囲気のマッチングがいい。積み重ねられ…

マダガスカル

悪くないんだけど、“大作と大作の合間にチョチョイと作った”作品みたいだというか、小さくまとまりすぎではないでしょうか。ちょっとくらい破綻してもいいからもう少し盛り上げてもらったほうが。例の「動物アニメにおける肉食・草食問題」をサラリと流して…

麻耶雄嵩『神様ゲーム』

あれれ、イマイチ。期待してたのに。「子どもが主人公」で「ショッキングな結末」のあるミステリとしてはわりと安直なオチのつけ方でつまらん感じ。いや、安直ったってかなりヒドい話ではあるのだけど、どうせなら根っから悪趣味になり切って書いていただき…

現代児童文学研究会『きょうはこの本読みたいな5 学校に行きたくない日に読む本』

しまった!夏休みに読んでしまった。勿体無い。 あの『だれかを好きになった日に読む本』を送り出した児童文学アンソロジーシリーズなので期待して読んだのだけどなんと言うこともなく。やはり説教臭い話が多いので、灰谷健次郎「いえでぼうや」、杉みき子「…

鳥飼否宇『逆説探偵』

普通のミステリとしてもバカミスとしてもユルーい連作短編×13。タイトルが似てるからというわけでもないんだろうけれど、そのユルさ加減は『昆虫探偵』とちょうど同じくらい。ただ、あれは設定が素っ頓狂なほどに奇抜だったから多少ユルくても楽しめたのだけ…

ジョナサン・サフラン・フォア『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』

これはちょっと打ちのめされちゃったなあ。ある種のショック小説か。『隣の家の少女』とか『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』みたいな、予見可能だからこそオチのヒドさがドーン!な話っぽくもあるのだけど、そうでもないかも。だってここまで書くとは思って…

常光徹『新・学校の怪談(1)』

あまりの懐かしさに思わず購入。学校の怪談ブームの頃9巻まで出た人気シリーズ7年ぶりの最新刊。旧シリーズは小学生の頃読んでたなあ。他にもポプラ社のとか、学校の怪談ものはとにかく好きだった。 ページを開くとまた懐かしさが襲って来て、そうそう、この…

マシュー・マッグローリー死去

『ビッグ・フィッシュ』とか『バブル・ボーイ』に出てたあのおっきい人です。まだ32歳だったのか。うーん。そしてアンドレ・ザ・ジャイアントの伝記映画を撮影中だったなんて聞いてなかった。 彼の経歴はこちら*1。 *1:http://us.imdb.com/name/nm0570067/

ハリイ・ハリスン『銀河遊撃隊』

スペオペのお約束諸々にいちいちツッコミ入れながら右往左往する、パロディスペオペもの。黒人だけど社会主義者で、でも「私は本当はアメリカ人だったんだ!(泣)」なジョンのキャラ設定とか、徹底的に足手まといなヒロインの扱いにニヤつきながら読んでた…

妖怪大戦争

相当まとまってないのは確かなのだけど楽しいのも確か。どうせならザコ妖怪の集団がそれぞれの能力を活かしてトンチで勝利!って話を観たかったけれど。あと、こういうオチにするなら小豆洗いの役は岡村隆史なんかじゃなくてキヨシローあたりがよかった。 子…

ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』

わりと普通に館ものミステリとして読めてしまうので結構スイスイ。ラストにおける犯人のキャラ立ちっぷりと名探偵(役)のショボーンっぷりがいい。なんだろう、すごくバカミスっぽいような。 あと、これに一番近い新本格以後の国内ミステリってなんだろう、…

ロボッツ

アニメーションとして面白いシーンは無いでもないけれど、ストーリーが死ぬ程どうでもいい。と言うか、ストーリーは無いも同然だな。ゾロゾロいる登場人物の一人としてキャラが立っていないのも辛い。豪華キャストの無駄使いにもほどがあると思う。『アイス…