2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

佐々木俊介『模像殺人事件』

主人公の劇作家は病床にある友人から奇妙な手記を受け取る。その手記には、とある山中の古い屋敷に住む一家の元に、行方不明の長男が顔に包帯をグルグル巻きにした姿で、しかも二人も帰って来たことを発端とする事件について記されていたが……というお話。 な…

トーク・トゥ・ハー

毎日窓辺から見つめ、家まで押し掛けたバレリーナが事故に遭って昏睡状態に。そこで彼女の看護を買って出た看護士ベニグノは眠る彼女と幸せな日々を過ごす。一方、闘牛士の彼女が昏睡状態になった記者マルコは彼女のそばで過ごすうち、ベニグノと親しくなり……

田中啓文『UMAハンター馬子 完全版1』

伝統芸能“おんびき祭文”の第一人者蘇我家馬子とその芸に惚れ込んで弟子入りした若娘イルカは今日も日本の奥地での公演へと出掛けるが、何故か決まって妙な生物の噂に遭遇し……という連作短編集。 いやー完全版出てよかったよかった。ハヤカワ偉い!なわけです…

ロード・キラー

実家に帰るついでに女友達を車で送り届けることになってウキウキの主人公。しかしダメ兄貴の保釈に付き合い、車に乗せることになってしまう。無線で女の声色を使い人を騙して遊ぶ彼等だったが、その被害に遭った運転手に恨まれ、どこまでも追い回される破目…

エニイ・ギブン・サンデー

かつての名コーチ率いるアメフトチーム“マイアミ・シャークス”はこのところ成績が落ち込んでいた。新オーナーの合理化の波がチームに押し寄せる中、故障したエースの代わりに新人の選手がクォーターバックを務めることになるが……というお話。 へたれチームの…

レイクサイド マーダーケース

湖畔の別荘で催される娘のお受験合宿に駆けつける主人公。そこに集った三家族の間には奇妙な空気が流れていた。そんな中、彼の愛人である女性が招かれざる客として別荘を訪れるが……というお話。 東野圭吾『レイクサイド』(未読)の映画化ということで、絶望…

飛浩隆『象られた力』

四編を収録したSF短編集。僕は作者が幻の作家扱いされてた経緯とかについては全く知らないんですが、ガチガチのSFっぽい設定を柔らか味のある文章で書いてるあたりの違和感が気になった。これを楽しめるときと楽しめないときでこっちの嵌り込み度が変わる感…

パッチギ!

京都の一高校生である主人公はある日朝鮮高校の女生徒に一目惚れ。ところが彼女が番長の妹だったからさあ大変。いろいろ問題を起こしつつもだんだんと彼女に近づいていく彼だったが……というお話。 大前提として泥臭いし、ギャグは概ね滑ってるのだけど、話を…

オーシャンズ12

前作(→感想)のその後、大金を奪われたカジノ王はオーシャンとその仲間の居所を探し出し、脅迫して返済を迫る。オーシャン等は金を作るため外国に渡りまたも金目の物を盗む計画を練るが、狙ったお宝をフランスで名を馳せる泥棒に横取りされ……というお話。 …

氷川透『各務原氏の逆説 見えない人影』

無気力な十代の典型である暮林晴海はひょんなことからサッカー部のマネージャーになることに。オタクな兄の受け売りサッカー理論で部の向上にそれなりに貢献し、ポジションを楽しんでもいたが、ある日部のエースが失踪するという事件が起こり……というお話。 …

ズーランダー

人気モデルのズーランダーはライバルのハンセルにトップの座を奪われて意気消沈。一方、そんな彼の頭のユルさに注目し、暗殺者として洗脳しようとファッション業界の裏の顔達が動き出すが……というお話。 ネタ元になっているあれこれ(80年代音楽とか)にあま…

綾辻行人『暗黒館の殺人』(背景色でのネタバレ含)

九州の山奥にある黒一色に包まれた屋敷暗黒館。そこに集う浦登家の人々は年に一度の特別な儀式<ダリアの日>を間近に控えていた。そこへ屋敷内の塔から落ちて気を失った江南という思わぬ闖入者を迎えることになるが……というお話。 いや、何に驚いたって自分…

ザ・リング

新聞記者ナオミ・ワッツは息子と二人暮し。変死を遂げた姪の回りを探るうち、見た者は必ず七日後に死ぬという“呪いのビデオテープ”の噂を耳にするが……というお話。 見るのが遅すぎたせいかオリジナル版(→感想)もそれほど楽しめなかった僕ですが、でも少な…

TAXI 3

暴走タクシー運転手ダニエルとダメ刑事エミリアンはなんとお互い恋人が妊娠したと知って慌てふためきつつ、例によってヘマをやらかしたエミリアンの汚名を返上するため町にはびこるサンタ強盗団の捜査を進めるが……というお話。 あれー、おかしいなあ。全く面…

筒井康隆『富豪刑事』(背景色でのネタバレ含)

大富豪の息子という特殊な性質を持つ刑事神戸大助は今日もその性質を利用して捜査に大きく貢献するが……というお話四篇を収録した連作短編集。 別にドラマ化したからってわけでもないんですけど今さら読みました。そして当然のごとく面白かったわけです。暴力…

巴里の恋愛協奏曲

実業家の夫との裕福な生活、そして愛人との火遊びをも楽しみながら優雅に日々を過ごす美女ジルベルト。しかし夫の新たな契約相手はなんと昔の夫だった。結婚歴を隠している彼女は妹とともにてんてこ舞い。愛人に思いを寄せる若い娘まで巻き込み、事態はさら…

佐藤亜紀『バルタザールの遍歴』

一つの肉体に共棲する双子のウィーン貴族・メルヒオールとバルタザールは、家の没落、義母との関係の乱れ、従姉妹との行き違いなど様々な問題を起こし、ウィーンを離れ、住み処を次々に移ってゆくが……というお話。 端正な文体に意外にしっかりと張ってある伏…

TAXI NY

長年の夢だったタクシー運転手の仕事を始めた走り屋のベルはしかし、運転下手の刑事ウォッシュバーンのヘマの巻き添えで車をお釈迦にされてしまう。憤慨する彼女は成り行きでウォッシュバーンの仕事を手伝うことになるが……というお話。 ストーリーはTAXIシリ…

非・バランス

小学校のとき友達に虐められた経験を持つチアキは中学に入る際「友達を作らない」「クールに生きていく」という二つのルールを決め、それに従って過ごしてきた。しかしある日オカマの菊ちゃんに出会い、彼女の中で何かが変わり始める……というお話。 特にどう…

学校の怪談4

夏休みに田舎のおばさんの家に泊まりに来た兄妹。従姉妹の女の子やその友達と楽しく遊んで過ごすうち、一人また一人と友達が行方不明になってゆく。一方、妹のヤエは海で昔友達を亡くしたという男と出会うが……というお話。 良質なファミリー映画という感じで…

別役実『コン・セブリ島の魔法使い』

コン・セブリ島に住むという魔法使いワレガミ・ド・コロンに会いに行くため、トマカンテ君は出発した。サルのガイドに惑わされたり魔法使い嫌いの住民達に嫌な顔をされたりしながら、トマカンテ君は島の底へ底へ進んでゆくが……というお話。 こんなの復刊して…

北の零年

明治維新の末、淡路に暮らす稲田家の面々は北海道への移住を命じられる。極寒の地に自分達の国を作ろうと張り切る彼等だったが、様々なトラブルに襲われ、身内や武士階級を失い、次第に希望も失くしてゆく。そんな中、リーダー格の渡辺謙が農業技術を学ぶた…

あ、みなさん

飛鳥部勝則『冬のスフィンクス』の光文社文庫版はもう出てますからね。表紙はまたも女子高生のイラストです。解説は折原一。中身は敬語喋りが癖のゴツい看板屋が夢の中で名探偵になってメイドさんと仲良くなる、ってなお話です(こう書くとなんだか……)。 ち…

カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』

時の流れの呪縛から解き放たれ、時間旅行者となったビリー・ピルグリムは、第二次世界大戦時にドレスデン爆撃を経験したことから、宇宙人に誘拐され実験動物にされたこと、妻や娘と送る裕福な生活まで、様々な時をはしごしてゆく……というお話。 面白かったけ…

大石圭『殺人勤務医』

人工中絶専門医の主人公は人当たりが良くみんなに慕われている人気者だが、実は次々と地下室に人を閉じ込めて嬲り殺してゆく殺人鬼だった。彼の次なるターゲットは……というお話。 『シリアル・ママ』みたいな動機と『セブン』みたいな方法で人を殺すサイコキ…

石黒達昌『人喰い病』

医学・生物学ネタが若干大目のSF短編集。この人芥川賞候補になってたのか。絶妙なタイミングで読んでしまった……。 医者である作者の本業の知識が盛り込まれた、ある種素朴な感じすらするほどの冷たい文章が心地良くて、これは面白いです。集中の個人的ベスト…

ネバーランド

劇作家ジェームズ・バリはこのところスランプ気味。ある日散歩に出た先の公園で出会った母一人息子四人の家族と彼は親しくなり、特に内気な少年ピーターを気に掛け、その交流を新作の脚本に盛り込んでゆくが……というお話。 意外なほど普通の“感動”話でびっく…

ホワイト・ライズ

カメラマンからエリートビジネスマンに転身を遂げた主人公は、故郷シカゴに戻った際、2年前に待ち合わせ場所に現れずそのまま消えてしまった恋人を目にする。仕事や婚約者も構わず彼女を追う彼だったが……というお話。 これ、失敗作だとは思うのだけど、中盤…

アーヴィン・ウェルシュ『フィルス』(背景色でのネタバレ含)

エディンバラの警察官ブルース・ロバートソンは筋金入りの不良警官。不潔でヤク中で黒人もゲイも大嫌いで、おまけに女をヤリ捨てるのが大好き!友人を陥れるの大好き!しかしそんな彼も最近は女房がいないせいか今一つ元気がなく……というお話。 『トレインス…

えんじさんが児童向けミステリを読む一環として三田村信行『キャベたまたんてい なぞのゆうかいじけん』を褒めておられます*1。残念ながら僕はこの本を読んだことはないものの、もし興味を持たれた方がいらっしゃったら、これを機会に三田村作品を読んでみま…